病院勤務の看護師に比べて心身の負担が少ない産業看護師ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。産業看護師として働くにあたり、どのような点に注意すればいいのかをわかりやすく説明していきます。
産業看護師の平均年収と一般的な看護師の平均年収はそこまで差がありません。産業看護師の給与は企業の規模によりますし、夜勤手当や残業代もないので、その分給与が下がってしまう可能性もあります。しかし、昇給のチャンスも多く、選ぶ企業によっては年収がアップする可能性も十分にあります。満足のいく職場を見つけるためには求人選びで妥協しないことが大切です。
データ管理などのデスクワークも多いので、最低限のパソコンスキル(メールの書き方やWord・Excel・PowerPointの作成方法)は身につけておかなければなりません。また企業で働くので、社内の人だけでなく取引先など様々な立場の人と接する機会も増えます。基本的なビジネスマナーが求められるので、パソコンスキルやビジネスマナーを学ぶ機会が少なかった人は、転職当初は覚えることが多く、面倒に感じるかもしれません。
産業看護師は社員の健康管理やメンタルヘルス対策、保健指導が主な仕事です。急病やケガなどの応急処置も行いますが、病院勤務のように患者に医療処置を行う場面はほとんどありません。看護スキルの低下は避けられないでしょう。それに、最新の治療法や薬剤、看護ケアなどの情報からも遠ざかってしまいます。いずれ病院勤務に戻ることを考えているのであればリスクにもなりかねません。
継続的にスキルアップしたい人や知識を深めたい人には大きなデメリットになります。
産業看護師の場合、1つの現場に看護師は1人、多くても数人しかいません。先輩や同僚の看護師がいないので、病院勤務とは勝手が違うと感じることも多いでしょう。慣れない環境の中、1人で仕事をすることにストレスを感じる人もいます。
産業看護師は1つの職場に1人もしくは数人しか配置されないため、求人自体が少なく、募集があってもすぐに埋まってしまいます。また、企業によっては年齢制限が設けられていることもあり、転職したいと思っても必ずしも希望が叶えられるとは限りません。
それに、企業が求めているのは即戦力となる人材です。仕事内容も病院勤務とはかけ離れているので、それなりの覚悟と自信、経験がなければ難しいでしょう。
産業看護師は特定の人にしか紹介されない非公開求人として扱われることが多いです。非公開求人は転職エージェントに登録している人にしか紹介されません。まずは2~3社の転職エージェントに登録し、募集があるか確認できるようにしておきましょう。
病院勤務の看護師と大きく異なるのは心身の負担が少ないことでしょう。命に関わる事態に巻き込まれることがなくプレッシャーも少ないので、余裕を持って仕事を進められます。人間関係のトラブルもほとんどなく、精神的に追い込まれることもありません。
産業看護師の勤務先として代表的なのは、企業の医務室や製薬会社の治験コーディネーター、臨床開発モニター、医療機器メーカーなどです。治験コーディネーターは専門的な知識を必要とする場面も多いので、その道に進む看護師も少なくありません。