医療や介護の現場ではなく、企業で働く産業看護師は勤務先によって仕事内容が異なります。ここでは代表として4つの職場を紹介し、それぞれどのような仕事に携わっているのかを詳しく見ていきます。
企業で働く産業看護師は医務室に所属し、急病やケガの対応、社員の健康管理やメンタルヘルス対策、定期的な保健指導などが主な仕事です。最近は働き方改革の推進とともに、職場のメンタルヘルスマネジメントも注目されているため、産業看護師はメンタルヘルス対策のリーダーとしても活躍しています。
薬を開発する製薬会社に勤務する看護師もいます。その場合は治験コーディネーターとして活躍することが多いようです。
新薬を開発する際はその薬が最終的に人体に安全かどうか、効果があるかどうかを確認しなければなりません。それを「治験」と言い、治験コーディネーターの役割は治験の調整や準備などです。専門的な知識が必要な場面も多いので、看護師免許など医療系の資格を持っている人が活躍しています。
治験コーディネーターの主な仕事は治験のワークフロー作成や関連部署との連絡・調整、同意説明の補助、相談対応、スケジュール管理といった治験に関わる事務作業や被験者との調整です。その中には、医療的な処置や症例報告書の作成、治験実施に関わる資料の作成なども含まれています。
臨床開発モニターは、治験を実施する医療機関で治験が規則や法律に則って実施されているかを確認し、治験依頼者である製薬会社と医療機関のスタッフの仲介役として、医師が作成した症例報告書を回収するのが主な仕事です。治験の依頼から全体管理まで、その業務は多岐に渡っています。具体的には、治験の手順書の作成、治験を実施する医療機関や医師の選定および契約の締結、実施するスタッフへの説明、治験薬の引き渡し、治験に関する報告書の作成、そして治験が計画・ルール通りに行われているかの管理です。
医療機器メーカーでクリニカルスペシャリスト(フィールドナース)として自社で開発した医療機器を販売する仕事に就いている人もいます。直接医療機関を訪問して自社製品のデモンストレーションを行ったり、納入時に医療スタッフに製品の使用方法を説明したりなど営業のような仕事を行っています。
クリニカルスペシャリストの仕事は看護師の免許を必要とするものも多く、資格やこれまでの臨床経験が活かせるとしてその道に進む人も増えています。
産業看護師は特定の人にしか紹介されない非公開求人として扱われることが多いです。非公開求人は転職エージェントに登録している人にしか紹介されません。まずは2~3社の転職エージェントに登録し、募集があるか確認できるようにしておきましょう。
病院勤務の看護師と大きく異なるのは心身の負担が少ないことでしょう。命に関わる事態に巻き込まれることがなくプレッシャーも少ないので、余裕を持って仕事を進められます。人間関係のトラブルもほとんどなく、精神的に追い込まれることもありません。
産業看護師の勤務先として代表的なのは、企業の医務室や製薬会社の治験コーディネーター、臨床開発モニター、医療機器メーカーなどです。治験コーディネーターは専門的な知識を必要とする場面も多いので、その道に進む看護師も少なくありません。