企業は病院とは違い勤務時間が固定されているので残業がほとんどなく、夜勤もありません。そのため、「夜勤や残業がないから年収も下がってしまうのではないか」と不安に思う人もいることでしょう。実際のところどうなのか、産業看護師の年収についてまとめていきます。
一般的に、看護師は病院で、保健師は市役所や保健所などで働く人が多いようです。看護師と保健師の役割を持つ産業看護師は企業で働いていますが、給与面ではどのような違いがあるのでしょうか。
看護師は他の職種に比べると給与は高めですが夜勤もあり激務なので、収入とバランスが合わないと感じる人もいるようです。一方、保健師は勤務先が市役所などの公的機関が多く給与は安定していると思われがちです。しかし、パート勤務の人も多く、そこまで高いわけではありません。産業看護師は基本的に一社員として採用されます。給与や福利厚生は企業で異なりますが、残業はほとんどなく、夜勤もありません。休日もしっかり取れるので病院勤務の看護師と比べて手当がつかない分、年収が下がるのではないかと思う人も多いようですが、同等もしくはそれ以上の収入を得ることが可能です。
例えば、病院勤務の看護師の平均年収は492万円ですが、企業の医務室に勤務する場合の平均年収は400~500万円、治験コーディネーターや臨床開発モニターの平均年収は400~900万円ほど、とそこまで大きな差はありません。また、産業看護師は経験や年齢も給与に反映されるので、臨床経験豊富な人はさらに高い給与を得ることもあります。
勤務先によって差はありますが、平均年収にすると大体500万円くらいになります。一般的な看護師の平均年収と大きな差はありませんが、なぜ産業看護師は人気が高いのでしょうか。それは収入以外の待遇面が充実しているからです。
社内に医務室を配置している企業は大抵、経営が安定している大企業です。大企業は福利厚生が充実しているので、一社員として採用される産業看護師も高待遇で働くことができます。福利厚生は企業が社員に対して通常の給与にプラスして支給する非金銭報酬のことです。内容は企業ごとに違いますが、社宅や育児休暇、社員食堂、保養所などのレクリエーション支援、社会保険の事業主負担などのことを指します。
企業に勤務している社員はこのような福利厚生を受けることができますが、気をつけなければならないこともあります。それは、福利厚生が充実しているのは正社員だけ、という点です。契約社員やパートなどの非正規社員は、ごく一部の福利厚生しか受けることができません。
産業看護師は特定の人にしか紹介されない非公開求人として扱われることが多いです。非公開求人は転職エージェントに登録している人にしか紹介されません。まずは2~3社の転職エージェントに登録し、募集があるか確認できるようにしておきましょう。
病院勤務の看護師と大きく異なるのは心身の負担が少ないことでしょう。命に関わる事態に巻き込まれることがなくプレッシャーも少ないので、余裕を持って仕事を進められます。人間関係のトラブルもほとんどなく、精神的に追い込まれることもありません。
産業看護師の勤務先として代表的なのは、企業の医務室や製薬会社の治験コーディネーター、臨床開発モニター、医療機器メーカーなどです。治験コーディネーターは専門的な知識を必要とする場面も多いので、その道に進む看護師も少なくありません。